生成AIの急速な進展により、これまでの定型的な業務は創造性やコミュニケーションに重点を置く仕事に移行することが予想されます。
そうした生成AIとその先のロボットが普及する新時代において、どんな能力が必要とされるのか?
私は主に以下の3つの能力が強く求められるのではないかと考えています。
- AIマネジメント
- クリエイティビティ
- コネクション形成(人脈)
それぞれについて説明します。
AIの台頭によって知識での差別化は難しくなってきており、提案力やオフィスでの業務処理能力は平均化していくことが予想されます。
いつの時代もそうですが、「どのようにツールを使って、どう仕事を進め、どう改善して成果を出していくか?」というように、自ら考え、行動できる人の需要はより高まっていくと考えています。
ディレクターやプロジェクトマネージャーなどのマネジメント領域の需要が高まり、その能力が高い人は重要な存在になります。
AIを使うことによって情報の種類、選択肢といったものが増える中で、最適なものを取捨選択し、計画を整え、決断し、実行に移せる人は非常に貴重になるからです。
また、生成AIの利用に伴い、データのプライバシー保護や情報に対する信頼性、倫理性、有用性などを判断する能力も求められるはずです。その辺りは士業からの流入や新しい職種が生まれる可能性もありそうです。
このようなマネジメント能力が高い人が揃っていれば、少数精鋭で外部リソースを利用しながら大きな仕事を進めることもできると思います。
生成AIによって、アプリケーション、デザイン、映像などこれまで専門的だった「創作」が誰でもできるようにはなりました(はたして創作にあたるのか、その辺りは置いといて)。
しかし、本当にそれがいいものか?顧客に刺さるのか?は、結局のところ専門知識や経験がないと判断は難しく、自信につなげることが難しいでしょう。
クオリティの高いものが出来たからといって、その分野の素人が「その質」について責任を負わされたくない、やはり専門家の意見を聞いて安心しておきたいという心理もあるため、「当面の間」は、特定分野のクリエイティビティが高い人材は変わらず重宝されると見ています。
顧客視点でみれば、「凄いものがいっぱい」になって溢れてくるので、いま以上にブランディングが重要になってきそうです。
オフィスワーカーの生産性が平均化され、多くの業務が自動化されることは確実です。
IT業界だけでなく、AI搭載ロボットが各産業に導入され始めると、あらゆる職種の定型的な業務は自動化されていきます。
そうなると、人間の仕事はAIでは代替できない領域にシフトせざるを得ません。
それは、創造性やコミュニケーション、そして人と人とのつながりを活用する領域です。
このような状況下でビジネスを成長させていくには、これまで以上に人と人とのコネクション、つまり「人脈」が重要になってきます。
AIが情報収集や分析を担うようになると、生身の人間から得られる情報や、人脈を通じて得られる非公開情報がより貴重なものとなるからです。
さらに異分野の人脈や専門知識を持つ人脈を活用できる人は、非常に強い立場となります。
既に多数の人脈を持っている人は、これまで以上に重宝されると思います。
異分野の人脈とのつながりは、新たなビジネスアイデアやコラボレーションの機会を生み出す可能性を高めます。
これまでにない「業種 × 業種」といった異業種連携による新たな産業や活路が生まれることも考えられます。
ビジネスが手詰まりになった時、頼りになるのは最終的に「人」であり「情報」です。
AIが仕事の効率化を進めるほど、独自データや人脈が貴重なものとなります。
外部とのつながりが豊富であれば、変化の激しい時代にも柔軟に対応できる情報を得られ、新たな環境に適応していくことができます。そのため、ビジネスでもプライベートでも、リアルな交流会が活発に行われるようになると考えてます。
広く浅くつながる交流会は今後も存在するでしょうが、参加条件が厳しい、エビデンスベースの交流会も増えていきそうです。
能力だけで言えばいつの時代も必要とされているものかも知れません。
しかし、これほどまでに高度で変化の早い変革は、おそらく人類が経験をしたことがないものです。
「この情報過多時代においても想像を越えるものを生み出せる人」
「より柔軟に、素早く決断して物事を進められる人」
「人と人をつなげて新しい事に繋げられる人」
これらの能力がより強く求められるのは間違いありません。