IT業界で働いているとメンタルをやられ、うつ病になる人が多いという話を聞いたことはありますか?
プログラマーなどシステムエンジニア系の職種では昔から言われてきたことです。
私が過去に在籍したIT企業でも、何人かメンタルヘルスの問題で休職や退職をした人がいました。
業界を知る限り、メンタルヘルスに関してはとても身近な問題に感じています。
まず、本当にIT業界で働くとうつ病になりやすいのでしょうか?
厚生労働省が運営するメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」では、毎年または定期的に各業界のストレスチェック調査やメンタルヘルスに関する調査結果を掲げています。
その中の「労働安全衛生調査」令和4年版の”メンタルヘルス不調による連続1ヶ月以上休職した労働者又は退職した労働者の状況“をみてみましょう。
「連続1ヶ月以上休職した労働者」、「退職した労働者」共に、情報通信業が最も多くなっています。
IT企業が区分けされているのは主に「情報通信業」です。
やはりうつ病などメンタルヘルスに不調をきたしてしまう人が多いのは、事実といえるかも知れません。
次いでインフラ系である「電気・ガス・熱供給・水道業」、「金融業・保険業」などが続きます。
ちなみに一番低い数字の産業は「宿泊業、飲食サービス業」でした。
高い仕事のストレス
IT業界で働く人々は、技術革新の速さと常に変わる業務要求に追いつくために高いパフォーマンスが求められることが多いです。
そのため、ITエンジニアやプログラマー、ディレクターやWebデザイナーなどの専門職は、定期的に知識の入れ替えを求められます。
また、プロジェクトの納期やクオリティに関する厳しい期待が多大なストレスを与え、これが疲労や不安といったメンタルヘルスの問題につながることも少なくありません。
IT系のほとんどの業種は、座りっぱなしでモニターを見続ける環境にあります。
外出やオフィス内での移動も少ないため、気分転換の機会は少なく、運動不足にも陥りがちです。
コロナ禍にあったここ数年は、多くの企業でリモートワークが行われました。
IT系職種では現在もリモートワークを続ける企業が少なくありません。交流も減ったために孤独を感じやすくなり、多くの人のうつ病に繋がったというニュースや記事を見かけました。
働き方改革以降はワークライフバランスが注目を浴び、いわゆる「ブラック企業」体質の会社は減少してきていますが、社会インフラを担当するようなシステム系の職種では、未だ夜遅くまでの残業や休日出勤が常態化してるといいます。
長時間労働と不規則な労働時間は、睡眠不足や生活リズムの乱れを招き、これらもまたうつ病のリスクを高める要因となっているのは間違いないでしょう。
うつ病の兆候と警告サイン
うつ病には多くの警告サインがあるといいます。
常に疲れを感じる、以前楽しめていたことに興味が持てなくなる、やる気が出ない、仕事のミスが増える、突然涙が出る、また「辞めたい」と感じることが多くなるなどが挙げられています。
実際、疲れを感じやすいのは体調もありますし、その時どきの仕事内容や年齢などもあるでしょう。
判断は難しいですが、これらのサインが見られた場合は、早めに専門のメンタルクリニックなどに相談するのがいいでしょう。「気力の減少」は注意が必要だと自分も常々思っています。
平均給与は高い業界ですが、この業界の仕事が好きだったり興味自体が高くないと、メンタルのすり減りは早いかも知れません。
また、性格的に真面目で、趣味などが無くストレスが発散しずらい人は特に注意が必要だと思います。
仕事は通勤や準備も含めると、自分の1日の半分を使うことになります。
それで嫌な思いをし続けていたら、やはり人間壊れてしまうと思います。
メンタルヘルス対策の実際
人間を生物として捉えると、太陽も浴びず、じっと動かずに画面をずっと見ているような生物じゃありません。
人とも滅多に話さなくなれば、そりゃおかしくもなります。
自身のメンタルヘルスを守るためには、以下のようなことが大切です。
- 適切な休息を取ること
- 趣味の活動や運動で心身のリラックスを図ること
- 友達との交流や社交活動に参加することで、孤独感を軽減させること
- 仕事でもプライベートでも小さな問題は早めに解決しておくこと
休息が取れない?
ずっとそんな環境が続いて辛いなら、思い切りも必要です。
その会社、その仕事のためにあなたがズタボロになる必要はありません。
ゆっくりとすり減らされて、そのうち考える気力も無くなっていってしまいます。
まずはメンタルクリニックで話を聞いてもらう、相談できる人にしてみる。
友達がいなかったら、オンラインの交流会からはじめてみたり、散歩のオフ会などに何回か参加してみたりして、会話できる人を作ってみましょう。あるいは推しをみつけてみたり、頑張ってジムに通ってみたりなど、自分の気力に合わせて動き出してみることがいいと思います。
現代は情報過多かつ監視社会です。
生き辛らさは増すばかりですが、とにかくストレスが積み重ならないように日頃から気をつけて共に生きていきましょう。