昨今、SEO対策は厳しくなっていくばかりです。
集客を検索に頼った中小企業、IT企業にとっては死活問題ですよね。
どうしてSEOは難しくなっていってるんでしょうか?
SEOが難しくなった2つの理由
理由をざっくり挙げると、下記2点が要因と考えています。
- 情報が増え続けていて、競争が激しくなった
- Google検索アルゴリズムのアップデートが頻繁にある
①情報が増え続けていて、競争が激しくなった
日々新たなWebサイトが作られていて、その多くは記事モノのページです。
お小遣い稼ぎをするアフィリエイターも爆発的に増え、同時にSEOを学ぶ人も増えました。SEOもすっかり一般的となりました。
その結果、お金がからみやすいキーワードほど競合も多くなり、検索順位争いは熾烈を極めています。
②Google検索アルゴリズムのアップデートが頻繁にある
増え続ける情報の中には、当然ながらGoogleに「重要・必要」とされるもの、「不要」と判断されるものがあり、検索順位を決めるロジックに調整がはいります。
それが検索アルゴリズムのアップデートです。
現在は大きめのアップデートと評されるものも、2、3ヶ月に1回のペースで行われるようになっています。
特に日本では2017年より、「医療アップデート」とも言われる特別なアップデートが行われるようになりました。
このアップデート、ユーザーの健康・財産「YMYL(Your Money, Your Lifeの略)」に深刻な影響を与えるページに関して、信頼性をより重要視して評価する、というようなアップデートです。
結果的に、医療系、一部美容系のサイトはSEO対策がかなり厳しくなりました。
ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営していたキュレーションメディア「WELQ(ウェルク)」に端を発して、根拠のない医療系記事を量産していたとする大手メディアが閉鎖するなど、いわゆる「WELQ問題」がキッカケになっています。
WELQ問題からネット上の医療情報はどう変わったのか | 幻冬舎ウェブ
WELQ問題「医師監修」だから安全とは限らない| 東洋経済オンライン
度重なるアップデートにより、まったく検索結果に表示されなくなり、廃業に追い込まれたケースも聞きます。
美容系、健康系商材などを専門にしていて大打撃を受けたアフィリエイターさんも多いんじゃないでしょうか。
それ以外のジャンルでも、順位の乱高下が激しい、主要キーワードの検索順位が変化ないのに流入が減ったなど、マイナスな話を聞くことが多くなってきました。
Google離れ – Googleからの検索流入が減ってる?
検索と言えば「ググる」という言葉もあるように「Google」が思い浮かびますよね。
日本の場合、検索エンジンといえば「Yahoo」か「Google」でした。
2011年あたりからYahooもGoogleの検索エンジンを採用するようになり、正に「ググる = 検索」ということになりました。
検索行為の分散
しかし今、10代、20代を中心に状況が変わりつつあります。
状況を変えている大きな要因。
それは「アプリ内検索」です。
アプリ内検索はSNS検索とも呼ばれます。
具体的には、SNSならインスタグラムやTwitter。
動画はYoutube、車好きならCARTUNE、コスメならLIPS、美容整形ならトリビューといったアプリです。
これまではGoogle、Yahooが検索のポータル(入口)となってました。
検索結果から、比較サイトや個人ブログでの言及などを利用して答えを探し出していましたよね。
それが、検索の初動はまず「Google検索」という一択の状況からGoogle離れが起こっていて、まず「アプリから情報を探す」という、検索行為の分散が起こっているんですね。
10代、20代、性別で言えば女性はアプリでの検索率が高くなり、不確かで的を得ない情報が多いGoogleは避けられる傾向にあるようです。
SNS検索ってなに?
Google代わりにアプリを使う、通称「SNS検索」って、アプリでどんな風に情報を得ているんでしょうか?
- Instagram(インスタグラム)
- 気になる場所や飲食店の写真や動画を調べたい、
ファッションのコーディネートや化粧品の評価を知りたい時 - 時事性のあるリアルタイムなものを探す。みんなの意見やちょっとした口コミなども。
- Youtube
- マニュアルなどでは分かり辛く長いため、使い方は動画で探す
製品の機能を知りたい場合は、テキストの口コミなどより動画を見る - 専門アプリ
- 特定ジャンルの商品やサービスの比較、口コミや価格の目安を調べる
以前はブラウザの「お気に入り」から、特定サイトへアクセスしていた状態に似ています。
「お気に入り」からのアクセスがスマホ画面にあるアプリアイコンに置き換わった状況ともいえますね。
余談ですが、ブラウザでサイトにアクセスするより、アプリのほうが「閉じられた領域」を感じさせることが出来ると思います。
そのため、コミュニティ意識が高くなって利用率が上がるような気がしてます。
もうGoogleって使わないの?
Googleをそんなに使わないという20代の30人以上(非Web業界)に、僕自身が1年に渡り直接聞いた結果、大体下記のような感じになりました。(ソースは立ち飲み屋)
- 面倒くさい
- 使う機会が少ない
- 結局調べられない(情報がよくわからない)
前述のWELQ問題のように、Googleの検索結果は企業やアフィリエイターによる集客記事によって、同じ様な情報や再検索が必要な、「無駄な情報」で溢れています。
玉石混交の検索結果から、正しい情報を取捨選択するのは難しいですし、面倒ですよね。
「いつも無駄な情報や嘘っぽい情報ばっかり」、という印象になると、「Googleは使わなくていいや」ということに成りかねません。
そういった体験などから、検索の初動はまず「Google検索」という状況から、Googleを離れ、「アプリの中だけで情報を探す」という検索行為が分散しているということです。
「ブラウザとか、別に使わないっすね」という人もいるくらいです。まさにスマホ時代。
Google離れは加速する – 流入は増々厳しくなる
Google検索からの流入でいうと、オーガニックの流入は徐々に減っていくことが予想されます。
冒頭で書いたようなアルゴリズムのアップデートによって、不必要だと思われる情報ページは順位を落とされるか検索エンジンのインデックスから削除されます。
コンテンツの質が今まで以上に求められますし、表示順位も1〜5位までに入らないと、より厳しくなっていきそうです。
その他にも以下のような流入の減少理由となり得るものがあります。
- 専門アプリを使うユーザーが増える
- Google自体が直接答える
- 検索ユーザー自体が減る
専門アプリを使うユーザーが増える
専門分野に特化したアプリは、その分野に詳しい人達や情報が集まっていることが多いです。
さらにインターフェースの使い勝手も良く考えられ、検索エンジンよりも濃密な情報が得られることがあります。
「この分野はGoogleで調べるよりこのアプリで」という体験が増えていくと、Google離れはより加速し使われない機会が増える、ということです。
Googleとしても厳しくなっていきますし、検索エンジンからの流入も減少していきます。
Google自体が直接答える
Google自体、検索結果から他サイトへ遷移することなく、直接的にユーザーが求める答えを表示するように変化してきてます。
具体的には「アンサーボックス」や「Googleマイビジネス」と呼ばれるものですね。
アンサーボックス
アンサーボックスといわれているものは、Google検索時、検索結果の上部に「検索キーワードに対する答え」を直接表示する機能です。
「〜〜とは?」というような何らかの意味を検索した場合などで、よく表示されます。
Wikipedia(ウェキペディア)の内容が引用されることも多く、Googleは何年もの間、Wikipediaに多額の寄付を行っています。
Googleが日頃のお返しに200万ドルをWikipediaに寄付
今後は「〜〜とは?」に限らず、あらゆる答えをGoogleが直接回答することが考えられます。
Googleマイビジネス
スマートフォンで地域の飲食店を探すと、近隣の飲食店がマップとともに表示されますよね。それが「Googleマイビジネス」と呼ばれるものです。
直接的に店舗情報や場所、口コミ情報などが得られるため、他のサイトに行く必要が無くなってきたとも言えます。
Googleマイビジネス向けのSEOは「MEO」と呼ばれています。
最近ではGoogleフライトというような、他サイトに行かなくてもGoogleで直接、格安航空券の検索が出来るようなサービスもでてきました。
店舗や情報の比較ポータルサイトも、うかうかしていられませんね。
(2020年5月28日追記)新型コロナウイルスの影響もあって、レストランの予約や見積もりがGoogleから出来る機能も出てきたようです。
GoogleマップやGoogle検索からレストランのオンライン予約や見積もりが直接できる新機能が登場 – GIGAZINE
検索する行為自体が減る
スマートフォンやタブレットが一般的になったことで、ゲーム、NetflixやAmazonプライムなど動画配信サービスが身近になりました。
エンタメがより手軽に楽しめる状況ができ、以前は「ネットサーフィン」に使っていた時間が別のものに置き換わってきています。
検索エンジン側からすると、「何かを探す」という行為自体を減少させている、やっかいな状況です。
動画サービスの視聴実態~生活者と「映像コンテンツ」の”いま・これから”
SEOより、お客さんを見直そう
GoogleのSEO対策は、これから先も「よりユーザーのためになるコンテンツを提供する」ということになると思います。
さらにGoogleは検索結果に対して新しい機能や表示方式を増やしてます。
ユーザーがより早くWebページを見れるようになるAMPやリッチリザルトというようなものですね。それらの機能に対応していくことも重要です。
しっかり構造化して、技術的にも対応して取りこぼしがないようにしたいところです。
ただし、全体で見るとGoogle検索(SEO)だけに頼った集客は、よりリスクが高くなってくると思います。
お客さんを把握しよう
普段自分のお客さんとなるユーザーが
- 何に時間を割いているのか?
- 何に目を通しているのか?
を把握したうえで、適切なアプローチをしないといけなくなってくるでしょう。
Google検索結果は、こちらでコントロールできません。
あなたのビジネスが、急激なアップデートやGoogleの新サービスによって急に死んでしまうこともあるかも知れません。
検索流入が減っていく中で、Google以外の集客手段も持たなければジリ貧になっていくのは間違いありません。
今後、集客はSEOからどう変わっていく?
これまでは、ほとんどの人が「Google通り」という一本道を通っていました。それが、スマホアプリの利用人口が増え、今は新しい複数の通りを別れて通るようになりました。
「Google通り」にSEOや広告を仕掛ければよかったものが、新しい通りにも広告を出したり、新しいマーケティング手法を試したりする必要がでてきました。
インフルエンサーが、より力を持つ
運営しているサイトに流入してもらう、人を呼び込む、というところでは、SEOだけではなく、マーケティングにも目を向けないといけません。チャネル(流入経路)は増えています。
個人的には、今後ますますSNSが強くなっていくと考えています。
それが既存のインスタなのか、動画配信系や新しい何かなのかはわかりません。
ただ、そうした何かを使ったインフルエンサーが、より力を持つ存在になることは間違いないと思っています。
ローカルコミュニティに注目する
話題の中心といえば昔はTVでした。
いまはTVのチカラが弱くなり、みんなと共通の話題も少なくなりました。
有名人は「TVに出ている人」でしたが、ご存知の通り、Youtuberやインスタ上のファッションリーダーなどインフルエンサーが注目され、有名人化しつつあります。
マイクロインフルエンサーを見逃なさい
ネットやスマホが一般的になり、趣味趣向も細分化しています。
そのような細分化された先には、ネットを中心に小規模〜中規模のローカルコミュニティーがいくつも出来上がっています。
みんな自分の好きなものを追えるようになり、自分の居場所を見つけ、匿名実名入り乱れてコミュニケーションを取るようになりました。
そこで「情報発信する人・キャラクター」は実績を積み、信頼を得るとフォロワーが付き、徐々に人気がでて応援されます。
そういった人達は「マイクロ・インフルエンサー」と呼ばれています。
Youtuberのように、そこからパワーをつけてメジャー化する現象もありますよね。
ローカルコミュニティー内は熱量も高く、インフルエンサーによる口コミ力も強固です。
これからのマーケティングは、ローカルコミュニティーを意識したものに変わっていくかも知れません。
数は多くなくとも、客単価、ライフタイムバリューが高いのが特徴です。
いかにミニ教祖(インフルエンサー)を、多く取り込んでいけるかが重要ですね。
いまは一定数のフォロワーがいるインフルエンサーに対して、登録すると仕事あるかもよ、的な「場を提供しました」みたいなサービスばかりだと思います。
インフルエンサーに任せきりなので、今後は、「こうすればもっとファンが増えるよ」、「こういうタイミングでイベントするといいよ」みたいな、頑張りどころの道筋を、業界として提示していってもらいたいなーと思ってます。
Webサービス、ビジネスにおいても、より身近に相手を感じられるようなコミュニケーションの場が設計されたものが強くなっていくように思います。
検索する・探すのではなく、提案される時代になる?
今後の「検索エンジン」の変化として、より検索キーワードに沿った提案をしてくることが考えられます。
ユーザーに対して「最適な提案」をする、秘書のようなポジションは空いています。
いまそのポジションを目指して、各社がシノギを削ってスマートスピーカーやスマートホームデバイスを投入してきている最中だと思います。
日常の生活データを含めたパーソナルデータを、いかに取り込めるかが勝負の分かれ目と見ているんじゃないでしょうか。
近い将来、音声や視覚的な情報も活かし、AIを駆使した最適な答えを提案してくる方向になるでしょう。
あなたのことを総合的に一番知るのは、身近な人ではなくパーソナルアシスタントになるかも知れません。
その頃にはもしかすると、検索ではなく、別のものにフィールドが移っているかも知れません。
信頼できる人々から、あるいはソーシャルでの周りの評価が商品やサービスを提案し、SEOの代わりになるのかも。
最後に
だいぶ取り留めのない記事になってしまったかも知れませんが、そもそも、なぜSEOするのかというと、流入して欲しいから、強いては利益につなげたいからですよね。
その流入が徐々に減少していくと考えると、やはり人が集まっているもの、いくものに目を向ける必要があります。
ここ10年でIT、Web業界は劇的に変化してます。
すぐに「新しい何か」を集客の選択肢に加えられるように、常にアンテナを立てておく必要がありますね。
以上、SEO対策と集客の未来について考えた投稿でした。